言っても仕方ないけれど口に出してしまう不満・嘆き・ぼやきである愚痴。
今日は、愚痴を「聞く立場」となったときのお話です。
「この前こんなことがあってね」と話の中にちょっと入っていると、その人の気持ちが分かって嬉しくなることもあります。
共感しあったり、関係性を深めるきっかけになったりすることもあります。
愚痴を言うことでストレスを発散できる、という側面もあります。
でも、話を聞き終えた後、なぜかドッと疲れたり、心が重くなって次の行動を起こす気力が失せてしまうことはありませんか?
愚痴が多いなと感じるくらいになると、それはそれで影響が大きいですよね。
今回は、
◆付き合い始めて日が浅い相手と、偶然のタイミングで耳にする
◆付き合いが長い相手と、同じような状況が繰り返し起こる
2つのパターンに分けて、心理学的な視点を交えて考えてみたいと思います。
◆付き合い始めて日が浅い相手と、偶然のタイミングで耳にする
例1:職場の休憩時間で立ち話をするようになった、最近入社してきた同僚。「やり方を注意されたんだけど、言い方ひどいと思いません?」と同意を求められて、答えにつまる。
例2:子どもの習い事で顔見知りになったママ友と、偶然スーパーで会って思いがけず長話に。
「うちの子だけ、先生からの注意の言葉が厳しい」など、どう返したらいいか分からない愚痴を聞く。
休憩時間や、思いがけない場所といった、本来は気が抜ける場所で、「社員」や「保護者」といった“こうあるべき自分”の仮面をつける羽目になって、疲れがどっと増えたのかもしれません。
また、出会って日が浅い人に対しては、
・この人は私にこの話をして、どうしたいんだろう?
・これからの関係性も考えて、答えをしなくちゃ
と忙しく考えて、エネルギーをより多く使うことがあります。
さらに誰もが「他人から見てもらいたい側面」を見せるため神経をフル回転させるので、気疲れが出るのです。
“オフにしていたスイッチを慌ててオンに切り替えて頑張った”
そう受け止めて、自分を労ってあげましょう。
もし「愚痴を話すこと」そのものに、ひっかかる気持ちや不快感がある場合、愚痴を言ったその人ではなく、愚痴という行為に注目してみてください。
そこにはあなたが大切にしている信念、こだわりが隠れているかもしれません。
- 愚痴を人に話してはいけない
- 自分の話をすることで相手の時間を奪ってはいけない
など、自分が自分に対して禁止していることを他の人がやっていると、相手を責めたくなることがあるのです。
また、心理学では「投影」という考え方があります。自分の内側の世界を外の世界に映し出して見ている、というものです。
本当は自分の内側に、愚痴を言いたい気持ちがあるのだけれど、それは良くないことだと、内側から締め出すことがあります。そうすると、自分以外の人が自分に代わって愚痴をいう場面に出くわすというのです。
もしかしたら自分の気持ちを吐き出してみたいな、と思っているのかな?と考えてみてもいいかもしれません。
また、押さえておいていただきたいのは、あなたは「話を聞いてもらえる存在」だ思われているということ。
共感力や包容力があるのだと思います。
ですが、心が重くなるほど受け止める必要はありません。
深刻に受け止めている、と気づくだけでもいいでしょう。
◆付き合いが長い相手と、同じような状況が繰り返し起こる
例3:定期的にご飯に行ったり遊びに出かける友人。
転職したはずなのに、最近の愚痴の内容は以前の職場の時と似ている。
例4:離れて暮らす実の親の家に帰ると、必ずご近所のことや他の家族についての不満や文句を聞くことになり、うんざりする。
愚痴を聞いていて辛いのはなぜかを、考えてみましょう。
相手の愚痴のなかにある「分かってほしい、助けてほしい」を敏感にキャッチしていると言えるでしょう。
そして、解決してあげられず、苦しさを感じているのではないでしょうか。
あなたにとって、どうでもいい人が困っている話をしたとして、同じようなうんざり感はあるでしょうか?
愚痴を聞いて心が落ち込んだ感覚が大きい場合は、心理学的に「癒着している状態」と言えるかもしれません。
愚痴を話している相手の問題を、自分にとっても大きな問題だと無意識に感じていると、頭が考えている以上に気持ちは沈むのです。
相手と自分の境目があいまいになっているときに起こりやすく、特に例4の親との関係で見られます。
「私が背負う問題ではないのかもしれない」と気づくことが第一歩ですが、折を見て「癒着」に取り組むこともお勧めします。
なお、愚痴の内容から相手を、正しい間違っていると判断している場合もあります。
「こうすればいいのに」と相手を責める目線があると、愚痴を聞いて味方になってあげたい気持ちとの間で綱引き状態になり、苦しさを感じるのです。
私たちは誰しも、心の底で誰かの役に立ちたいと思っています。
「何とかしてあげたい」という思いやりからの反応とも言えます。
とはいえ、愚痴の内容がだれの問題で、解決できるのはだれなのか、を意識することも大切です。
相手の力を信じ、より良き方向に進むことを祈ることで、考える時間を終了にしてもいいかもしれません。
愚痴自体が悪いものではありません。少し話すことで気持ちが晴れ、心が楽になるメリットもあります。
心を開いて話すことで、親近感が生まれたり、仲良くなるきっかけにもなりえます。
愚痴を聞く側になったときには、できたら心に負担をかけずに、軽く聞いてあげたいですね。
